命証合診(めいしょうごうしん)


『命症合診〜体質と病気と運命がわかる
  「命理学」と「漢方治療」の結合〜』    
  林 秀靜 岡田研吉 袁 世華 共著   
  東洋書院出版 2800円+税
   

(本文まえがきより)
「命証合診」とは、香港・台湾で行われている中国医学の診断法の1つです。
「命」とは、生年月日、時間・出生地より個人の先天運を出し、その人が授かった運命を知る技法で、中国では命理学と総称されています。
「症」とは、中医師が病気の原因や体質を的確に把握するために用いる診断法です。
つまり、「命」で先天体質や体調のリズムを把握し、将来を見据えた上で、「証」で現在の病状を診断し、治療するのが「命証合診」なのです。・・・

玉川学園 岡田医院では、治療に八字(四柱推命)による占いを取り入れ、実際に効果をあげている。
患者さんを、長春中医学院大学教授の袁世華教授に漢方的に弁証してもらい、患者さんの状態を西洋医学的からと東洋医学的見地から確認する。同時に命理学研究家である林秀靜氏が四柱推命で占い、両者の見解をつき合わせ、患者の治療効果に照らして、その治療法の是非を判定するという方法を行った。

その結果、「漢方医学の診断による患者さんの過去と現在の状態が、八字の見立てと見事に一致し、八字で予測される患者さんの将来の変化を見据えて治療を行うと、その効果が一段と上がった」(岡田医師)と報告している。

本書では、命症合診で治療を行ったケースを24例(数え間違えていたらすみません)報告があり、後半は病気と陰陽五行の因果関係について患者さんのデーターから、いろんな統計をとった結果を掲載している。


東洋医学四柱推命も、五行の偏りや寒暖・燥湿の傾向をみることなどから、「命証合診」という方法も実現できるのかなあと興味をもっていました。
この本の事例のように、四柱推命が治療の一環として一役買って、連携して治療がうまくいくケースはでてくるとは思います。
ただ、やはり四柱推命の結果=疾病に結びつかない例もあるでしょうし、あくまで参考にする、傾向をみるという範囲でなけりゃ・・・とも思うのです。

本書後半の統計例も調査対象者数が少なく(日干別でみたそれぞれの人数が一桁など・・・)、帰納的な分析結果と言うには無理があるし、出生時間が不明な例もあり四柱推命の結果についても疑問が残るなど、この本を出すには時期尚早だったのでは?と思ってしまいます。

考え方としては大変興味深いし、四柱推命的に体調に傾向が出ることがわかっていれば未病の段階で体調管理ができやすい、逆に未病で調子が悪いところが出ている場合に、漢方医学四柱推命を併用して総合的に判断を加えるという手もあるのでしょう。
(実際やっているわけですし)
 
昔は病気が死につながってしまうような時代であり、占術によって病気や死期などを占う研究が主流だったのではと思います。
しかし、現代では医学が発達して、かなり重篤な病気でも治療や延命が可能になりました。
なので、病気が判明してしまった段階では、西洋医学東洋医学でも、とにかく医学に頼るのが一番なのは周知のことです。

ただ、占いの特性としての、個人の性格や生理の傾向、未来を推し量るといったことを通じて自分自身を知り、そこから見えてきたものをどう生かすか、どう生活の中で気をつけたり改善していけるかといった、予防的なものの効果は占いにも多少あるのでは、と思っています。

もう少し、データーを集めて「命症合診」での分析結果で明らかな効果が出てきたなら、四柱推命が漢方治療と協力しての予防医学が、日本でも取り入れられる日もくるのでは?と期待しています。