この本は、よしもとばななさんと「代替療法」にかかわる人たち4人との対談の構成になっています。
対談については、さら〜っと、とばし読みしたし、何となく各自の健康観の根底に流れているのは、ふわっとしたものというか「病は気から」とか「体と心のバランス」とか、「気持ちと体の波にあわせる」といった、確かになるほどとは思うけれど、結局は基本的なことを経験に基づいて話している漠然としたメッセージ、のようにも感じました。
そんな、ふわっとした健康観の対談の後半に掲載されていて、ガツンと圧倒的なメッセージを放っていたのは、やはりばななさんの友人である“るなさん”の「奇跡の中で生きている」という乳がん闘病手記です。
医者のいいかげんな判断にも食い下がり、自分の身体からのメッセージを信じて突き進む強い意志・直観力はものすごいです。
というか、機械的な対応で患者の側に立てない医者、いいかげんな診察・判断をする医者・・・病院が多忙を極めていることもわかるし、お医者さんも人間だからいろいろな人がいるのは承知の上だったけれど、るなさんに対する病院での対応(前半)に、これが現実なのか?とショックを受けました。(後半には、親身に前向きな助言をしてくださる医師や看護師さんたちに恵まれて、これも現実だと安心しましたが)
同じ内容を伝えるにしても言葉の選び方や話し方次第で、受け取り手の気持ちを傷つけたり前向きにさせたりする力が言葉にはあるわけで、言霊の威力を改めて感じました。
るなさんはどんな状況にあろうと笑顔で、周りへの感謝の気持ちや心配りにあふれていて謙虚です。
そして、常に前向きであきらめず強い意志でがんと闘い、骨、脳への転移にも負けずにがんを打ち負かし、体温計が壊れてしまうほどの高熱をだしたカリニ肺炎も跳ね返し、7年後もがんばってがんと闘っています。
命と向き合い、自身を生かしています。
〜ばななさんの言葉より〜
「奇跡を起こすということは勢いにあふれたことではないし、いっきょに全部がぱっと解決することでもない。こんなふうに毎日這うように低く、じわじわと、じっくりと、こつこつと面倒くさいつらいことをこなしながら、ただただ少しだけ前向きにあきらめずに、誠実に、いつのまにか成し遂げられるものなのだ」
この手記はかなりリアルで、辛すぎて途中で読むのを挫折しそうになりました。
私には乳がんで闘病している友だちがいて、るなさんと病気の進行経過もよく似ているのです。
この本から具体的な検査内容や手術の方法、副作用の症状について知り、彼女もこんな辛さに耐えながらがんばっていることがわかって涙がこぼれました。
周りの人ができることは応援するしかないけれど、それが励みになると、るなさんが書いてくれていたから、応援を送り続けるよ。
Rちゃんなら絶対に大丈夫。負けないで!