キロンは土星と天王星の架け橋

 
参考文献 〜下記のことはこちらの本から学んだことをまとめてみました〜


 「完全マスター西洋占星術Ⅱ」
   松村 潔 著  説話社



土星山羊座の支配星であり、限られた場所での価値観のようなものを表します。
日本で生まれて生活していれば、日本という国がもつ社会的な文化や通念みたいなものが、土星の範囲となりますか。
で、天王星というのは土星より外側に軌道があるので、土星の社会的な通念から外れた考え、ローカルなものに染まらない視点ということで、環境に同調しない風変わりなもの、といった意味をもちます。
 
ところが公転周期を考えた時には、天王星は約84年なので、人の一生に最も近いことになるのですね。
天王星の周期を人の一生に見立て、4つのアングルに分けてホロスコープに当てはめて考えると、一つの期間は約21年となります。
生まれてから21歳までを学生期、21〜42歳までが社会人、42〜62歳は引退して第二の人生期(精神道)、62〜84歳までは死後を考えながらの調整期、という風になりますが、これは現状には当てはまりません。

現在は定年も延び、“死ぬまで現役”ぐらいに社会生活を全うするような状況にありますから、肉体的な健康を維持しながら社会的環境に生きていく、という土星的視点が賞賛されている、ということになるでしょう。
天王星の視点は生命全体のトータルなものにかかわらず、土星的な視点の方が社会的には優位なものになっているのですね。

天王星が人生サイクルと同じぐらいの周期ということは、それを対象化して意識することはできません。
イメージとしては、天王星という乗り物に乗って一緒に移動しているため、その乗り物である天王星を客観的に感じることができない、というふうでしょうか。
対象として感じることができるのは、天王星より短いサイクルの土星まで、ということになります。

ちなみに土星の周期は約29年なので、社会人や結婚・子育ての期間に近いということで、社会生活の周期と考えられています。
土星的な社会生活の時間枠が延長しているということは、宇宙サイクルから地球での人類が孤立している、とも。

この土星天王星の間を軌道にとる小惑星がキロンです。
キロンは、土星の内側から天王星の外側を楕円形に動く軌道をもっています。
そのため、占星学上ではキロンが土星天王星の間の架け橋のような役割をもつ、という解釈があります。
キロンは、目に見える世界(土星内惑星)と見えない世界(トランスサタニアン)を繋ぐのを請け負う、ということです。
天王星的な広い普遍的な視点をもち、それを土星的な実際の生き方に持ち込む鍵をキロンが握っているのだ、と。

松村氏の本を読みますと、まずは天王星があるサインとハウスを考えてみること。
天王星がある場所は、その人本来の自由性と独立性を発揮できるところです。

そして土星があるサインとハウスを考え、天王星と比較してみる。
自分の生活する環境で固い土台と枠に守られて安定して生きていくには、土星はとても重要です。

その後で、キロンのあるサインとハウスを考えてみる。
『ローカルな信念体系に委ねることから独立した視点を持ち、本来の自分としてトータルな生き方を目指すためにはどうすればよいのか、土星天王星の断絶を埋めるための、その傷がどこにあるのか』を指し示しているのが、キロンということです。
キロンの公転周期は約50年であり、遅い天体は世代的な特徴をもつことを考えますと、個人的な視点に落とすにはハウスの位置や度数まで見るサビアンも含めて考えてみるとよいのかな、と思います。


私の出生図の天王星はIC付近の天底の籠った場所に、土星は10〜11ハウス付近の社会的な位置にありますから、日本ならではのローカル意識(土星的価値観)は強い方だと思います。
そしてキロンはMC付近なので仕事では、そういう傷をもった子どもたちが集まってくる場所で対応をしていたとも言えますが。
枠からはみ出がちな彼らと関わることで、天王星的な意識を考えるきっかけをいただいていたのかもしれません。
また興味深いことに、退職して専業主婦になった時期、トランシットの土星はIC付近、天王星はMC付近にきていました。
「専業主婦」という肩書きを得たことは私にとって、社会的(土星的)には仕事から離れ家に縛られることを意味しますが、人生のトータルな視点(天王星的)で考えると、自由な環境を獲得した立ち位置にたどりついた、と考えられますか。
実際、仕事を辞めてからは社会生活にも疎く、占いにはまるという風変わりな生活?を始めてしまったわけで。

結婚を機会にキロンに向き合い、天王星への架け橋を見つけられたのかしら…と思うと、星へのロマンを感じますね♡