『風の谷のナウシカ』を読んでみた

鈴木敏夫さんの著書『仕事道楽』の中で、映画アニメ版ナウシカのラストについての宮崎監督の葛藤と、漫画版にはその後があるという記載を読み、本物のラストをぜひとも読んでみたい!ということで、遅ればせながら漫画版『風の谷のナウシカ』を読んでみました。

漫画版は1982年に連載スタートで完結が1994年、映画は1984年に上映されたので、その後10年近くも他の長編映画の創作をしながらも執筆を続けられたという、まさに熟成ストーリーなのですね。

 

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映画版では、人間の環境問題がもたらした生態系の破壊による世界、その後続く種族の戦争や自然との仲裁者として立ち向かう救世主の少女の物語、といった印象でしたが。

漫画版の内容は更に凄かった。…とことん深く、そしてカオス…でしたね。

最後、ヴ王の「お前は破壊と慈悲の混沌だ…」というセリフが、このナウシカの物語を言い表しているように思いましたが。

ストーリー展開も複雑で、表と思って走っていたのが裏だった…?みたいな結末にも驚きでしたし、創造世界の設定描写は細かく丁寧で、重苦しくなりがちな思想も登場人物のやりとりで表現できるのは、漫画だから成し得ることだなあと感じ入りました。

 

伝説に語り継がれてきた、人々にとって光り輝き崇めるところのものである、「青き清浄の地」や「青き衣の者」の真実。

その真実を静かに一人受け止め、滅びが隣り合わせにある世界で「青き衣の者」として生きぬく決意をするナウシカ

闇の中に光があり、光の中に闇がある、二元論の統合のような世界観。

 

宮崎監督の作品は、邪悪だった敵も純粋な少女の前では素直な幼子のようになってしまうとか、また主人公の少女も猛々しい闇を内側から放っていることも多いですよね。

内包する光と闇のどちらも描いていくことで、登場人物は魅力を持ちますが、物語の展開としては方向性の曖昧さも出てきて、かなり複雑になるような…。

この漫画には、「浄化」と「汚濁」といった相反する性質、「自然」の意味、宗教観、血肉を超えた繋がりや母なる大地的な愛、などについてが戦争シーンやドロドロした「腐海」や蟲(むし)描写で展開するので、「う~ん…」という感じにはなりますが、読み返した時の年代に応じた発見がある漫画だろうと思います。

 

登場人物たちは、「腐海」が放つ有毒の「瘴気」を吸わないようにグロテスクなマスクをつけているシーンも多く、何となく現在の状況とのシンクロも感じました。

「汚染」されないように「清浄」を心がける自粛生活。

恐怖や不安から生まれる、排除、差別、争い…。

人工物を創り出し「清浄」を進化させていくことで、自然生態系的にもどんどん変異を促しているのだろうし、人も「汚染」に適応できるよう耐性ができて変わっていっているのだろうなあ、とか。

世界は美しくも残酷であり、確約のない未来に向かって、今を苦しくとも生きねば…といった宮崎監督の熱いメッセージを感じ、改めて今読めてよかったと思いました。

 

 

ナウシカは、『憎しみよりも友愛を 王蟲の心を~…』と叫んでおりましたが。

害虫は家の中に入れたくはないので、暑くなってきたことですし、虫対策を始めました…(^^;) 

ローズマリーを剪定して水洗いし…

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100均(ダイソー)のアロマポットで焚く…

(直に置くとすぐ焦げるので、アルミに入れて爪楊枝で時々かき混ぜる)

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部屋に野生っぽいローズマリーの香りが拡がりますし、乾燥したローズマリーは、そのまま料理に使えます。

虫対策の効果のほどはわかりませんが、部屋で読書をしながら草原にいるような気分?になれますよ…(^o^)丿