ていねいな時間

 
「ツール・ド・国東」完走のご褒美に、夜は贅沢なごちそうをいただきました。
と言っても、出場した旦那が予約してくれていたのですが。 

大分の友だちがお勧めよと教えてくれて、以前旦那も来たことがあるというレストラン「ギャラリーKAN」さんです。
後で聞くまで知らなかったのですが、1日2組(ランチとディナー)の予約制のレストランなのでした。

なので、お客さんは私たちだけ。
風と陽にさらされてヨレヨレのいでたちの私たちだけ・・・こんな贅沢いいのかしら・・・。 

場所は日出町大神。
駐車場に車を入れていると、シェフの林さん自らわざわざ外まで出てこられてお迎えしてくださりました。

海と山と空の美しいグラデーションが広がる眺望、よい香りの花が咲いていた(あだ花なのだそう)伊予柑畑、オリーブの木、2つ並んだレトロチックな石釜、木から吊り下げられたブランコ、奥には自家畑・・・。
興味津々で思わずキョロキョロと周囲を見渡してしまう、高台の隠れ家?レストランでした。

玄関へ案内されて扉を開けると、笑顔の素敵な木村さんがお出迎えしてくださり、これまた温かい気持ちになりました。
やはり、人って相手に受け入れてもらえてるって思えると安心するんだな〜と、妙に客観的に思ったのでした。
 
そして、お料理はどれも絶品。
化学調味料は一切使わず、自家製ベーコンや畑の野菜は素材の旨味が凝縮されていて、こんなに美味しくなるものなんだ!と感動。
石釜で焼いたパン、ピザ、あらゆるお料理たちは、もう、もう、素晴らしいとしか言いようがないです。
石釜で焼くと月並みな表現ですが、外はこんがり中はジューシーに瑞々しさを保っており、焼き時間はKANですということ。
さすが〜!

デザートタイムに、木村さんがピアノの生演奏で「マイ・ファニー・バレンタイン」を歌ってくださいました。素敵〜。
1年間のお祝い事がいっぺんに訪れたようなHappyな気分・・・。

ラッキョウの苗までつんできていただいて、感激です。
うちでもちゃんと育つといいなあ。
訪れた時から帰る時まで、エンターテイメントなおもてなしをしていただき、ていねいな時間、空間を満喫しました。
 
「ギャラリーKAN」さんには、自然の力のまんまを活かした(ほったらかしも含めて)、こだわりと手間がかけられたものにあふれていました。
こだわりがあるものや、手間や時間がかかっているスローな物や暮らしには憧れがあるのですが、実際それを貫いて生活していくというのは、面倒だったり時間に追われて(を言い訳に)なかなか実行・継続できないものです。

KANさんのように洒落たこだわり料理はできないけれど、せめて母がしてくれていた昔ながらの家庭料理くらいは継承していけるよう、少しの手間をおしまずに日常に当たり前に取り入れていかなきゃな、と普段の生活を反省し・・・「手間」って大切だなと。
いやあ、潤いをもらったわ〜・・・。


 い ろ  は   に  ほ                      へ  と  ち  り ぬ 
 

い : 飲み物は香りがよくて大好きな凍頂烏龍茶をチョイス。何杯でもおかわりができて嬉しい。 

ろ : 地下400〜700mから採取した貴重なドイツのクリスタルな岩塩をすりおろしてパウダーにして天ぷらにかけていただきます。
     (お店でgに応じて売ってます。買って帰りました〜) 

は : きれいな盛り付けの前菜。自家製ベーコンに苦瓜、うまーい。
    畑でとれたというきくらげの肉厚なこと!コーンが縦に並んで揚げてある天ぷらに驚き!

に : 石釜で焼いた、あつあつのカリッふわっなパン。小麦の香ばしい風味は相当おいしい。(もちろん買って帰りました)

ほ : ビシソワーズ。玉ねぎのやさしい風味が上品な一品。器も素敵です。

へ : “シンフォニー”という名前がついたお料理。
    小さな器の中でお野菜と魚介のエキスがぎゅ〜っとつまって奏でるシンフォニーは素晴らしいお味。

と : カツオのお出汁のジュレ
    ジュンサイの口当たりがよくて、真那井産の潮トマトとカツオ出汁とのコラボレーションはお見事な組み合わせ。
 
ち : お魚料理をお願いしていたのでメインはサーモン。身がジューシー。
    自家製レタスは三つ葉の茎でロールしていて食べやすく可愛い。 

り : ピザももちろん石釜焼き。
    伝統的な手間のかかった製法の生地はモチモチで小麦の風味が、しっかり生地の存在を主張しています。
    別府湾でとれるジャコのカリカリな歯ごたえと合いますね。
    自家製のチリソースをつけていただきます。
    私もチリソース作ってみようかな・・・。

ぬ : デザートは、桜の塩づけ(1年前の)のアイスと、焼きプリン、アップルパイにはシナモンをかけていただきます。
    桜アイスは口の中で桜の香りが圧倒的に広がります。
    アイスを鼻でかいでみても香らないのに、食べるとあんなに香るのが不思議。
    アップルパイにかけるシナモンは樹根(まさに木の枝のような状態)を軽く削っていただいて、これまたびっくり。
    これまでのシナモンのスパイシーなイメージをくつがえす、すっごく優しい甘みと香りにうっとりです。
    本物はそのままでは香らずに刺激を与えることで香りが出るんだよということで、なるほど〜。
    焼きプリンも絶妙な舌触りと香ばしい甘み、コーヒーもすっきりした豆の味で後口がよいです。
    甘いものを特に好まない私にとって普段デザートってそんなに感動がないのですが、このデザートはツボでしたね〜。


食事って味や見た目のよさでおいしく感じるのはもちろんなのですが、KANさんのお料理はそれに加えて、口の中に広がる食材の香りの発見を楽しめるお料理だなあと感心しました。
本当におごちそうさまでした〜。


 「ギャラリーKAN」さんのHP → 湯布院から車で30分|予約だけの小さなレストラン|ギャラリーKAN