偶然と必然を科学する 四柱推命学

 
 

 「偶然と必然を科学する 四柱推命学」
   小山内彰著 希林館  2200円+税

 
 
この本は、以前四柱推命を教えていただいた先生が、小山内彰さんと陽史明さんの推命法を取り入れていらっしゃったので、参考に私も確か4冊目かな?に購入してみた本です。
これも古本購入・・・実は四柱推命の本は定価で買ったものはほとんどないかも・・・。

この著者は、自分の研究と実証的経験に基づいて独特の看命法をとっています。

  • 三合局、支合、冲、干合、刑、害や神煞、をとらない。
  • 月令による旺相死囚休を重視するので、生旺墓絶である十二運(1年を巡る間に五行が十二の変遷をたどるという考え方)は、五行の四季の変遷とかみ合わなくなるので採用しない。
  • 四柱推命と日照時間の長短との関係はみられるが気温は無関係であるとし、燥湿という視点は妥当性があるとするが、寒暖や調候という視点は実証性がないとする。
  • 日干に隣接する干(日支の蔵干を入れて)との関係を重視して象意を考える。
  • 通変の象意も、日干からみて外向き・内向きというとらえ方で少し独特。
  • 「旺の逆転」という独自の看法をとる。

 
 といったところですかね。


この著者は独自でとてもよく研究されているなあという印象です。
本の題名にもなっていますが、暦や蔵干の考え方などはとても科学的に計算されており、科学に裏付けられているような信憑性を感じさせられます。
既存のあり方にとらわれずに、実証的研究を積み重ねて独自の方法を編み出しているところは素晴らしいと思いますし、内容的にも説得力があります。

五行の事象は儒教に由来する五常(仁礼信義智)の視点を取り入れて解釈しており(五行は生来の身体的なことだけを看る視点)、通変の事象はその人の行動様式をみる(対人・対社会的なことを看る視点)として、説明にもわりとページを割いていたので、参考になりました。

象意については私が解釈した感じでは、統計的な事象としての象意と考えるのではなくて、物や人との関連として考えた時の傾向(火は演繹的な思考傾向というようなやや抽象的なとらえ方?)という看方をした方がよいということのようですが。
象意として具体的に提示されている言葉として認識するのではなくて、関係性として考えるということなのか?
そこに思いをめぐらすのが面白いところなんでしょうけど・・・解釈がちょっと難しいなあ・・・。

「旺の逆転」という苦肉の策?の発想も大変面白いのですが、これまた周りの人でやった時にもそうだろか?といった感じで(私の命式では逆転しないので)、当たっているのかはよくわかりません。

きっと独特なので賛否両論ある本だとは思いますが、暦の考え方や五行・通変の事象のとらえ方などの発想は面白く、視点としてもっておくといいのかなとも思いますし、内容も無駄がない感じにしあがっていて本の値段も安い方だし、著者の研究者としての真摯な姿勢が感じられる本だと思います。