読書の秋。易。(その1)

 
この1か月ほど、図書館で易に関する本を借りまくって読みあさっています。
易占いは一見、コインの表裏で占うこともできる簡単手軽な占いではありますが、奥はものすご〜く深くなかなか真意は見えてこず・・・ということを認識することができました。

今のところ読んだ本は・・・
 
超訳易経 自分らしく生きるためのヒント 」
  竹村 亞希子著 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング) 角川SSC新書 

「人生に生かす易経
  竹村 亞希子著 致知出版社 

易経」一日一言 (致知一日一言シリーズ13)
  竹村 亞希子著 致知出版社 

☆「易学入門」
  安岡 正篤著 明徳出版社 

☆「易と人生哲学」
  安岡 正篤著 致知出版社

☆「黄小娥の易入門」
  黄 小娥著 サンマーク出版

☆「易占七六八の答」
  黄 小娥著 実業之日本社

☆「易」中国古典選〈10〉 (朝日選書)
  本田 齊著 朝日新聞社

「占いの原点『易経』」
  梶川 敦子著 青弓社

☆「易経の智恵」人生の最高哲学
  田中 恵祥著 深川宝琉編集協力 コスモトゥーワン

「易の話 『易経』と中国人の思考」
  金谷 治著  講談社学術文庫


実占した場合の卦の説明(六十四卦)があるのは☆がついた本で、他の本は易経を中心に説いた本です。
黄小娥さんの本は、絵もあって卦の説明もおみくじ的なので読みやすく、占ってでた卦以外も雰囲気を知る感じで面白く読めました。

田中恵祥氏の本は、六十四卦全ての六爻の爻辞についての説明もあるので、占った卦を調べるには適度に詳しく手軽で便利でいいなと思います。

本田齊氏の本は、六十四卦全部についての卦辞と六爻辞の訳を何種類か掲載されているというのもあって全部は読みこなせず・・・。
(占ってでた卦については、読みましたけど)
でも、多分本田氏の本が一番詳しくてためになるのではと思います。もう少し理解が深まった時に、もう一度チャレンジして読みたいと思っています。
 
読み物として読みやすかったのは、竹村亞希子さんの本です。
特に「乾為天」と「坤為地」の解釈については、かなり理解が深まりました。
世情とも照らし合わせながら説明されているので、イメージもわきやすかったです。
竹村さんが、全部の卦についての説明がある本を出してくれればよいのになあ・・・と思います。

梶川敦子さんの本は、文章というか言いまわしの言葉などが美しいなあという印象です。
易の師匠の話は読み物としても興味深く、日本文化などの古典(文学や茶道など)への影響を紐解いて解説し、著者の生い立ちに関わりの深かったキリスト教の教えにもつなげながら、易経の教えを説いています。
易の説明というのではなくて、日本の文化や思想の奥底に易経の考えが影響を及ぼしてきたということに気づいてね、と訴えている本という感じかな。
 
安岡正篤氏の本は、現代文でない言いまわしなどもあってすっと文面が理解できにくいところもありましたが、とても立派な考えをもたれた方(時間がない中で書いた本だったり講話内容の本でしたから、そういう思念をいつも持たれていたということですよね)だったのだなあと思いました。
何度も力説されていたのは、「真の易学は、宿命の学問ではなく立命の学問であること。本当の運命とは立命〜運命の法則、理法を知ってそれに従って開拓していくべきもの、自主創造していくもの〜宿命観に陥ることなく、立命に導くということである」ということです。 

このことは、金谷治氏の本の最後の方の「中国人の運命観」にも同じようなことが記載されてありました。
転記しますと・・・
 「・・・性とは人間に内在する生まれつきの純粋な本性である。命は人間を超えた外から迫る大きな運命である。そして、理は内外をつらぬく客観的な法則である。〜運命を主体的に受けとめること、外から迫るものを内に転ずること、それが性命の一致である。〜神秘の世界に落ち込んで運命に屈服するのでは、生命にあふれた活動的なこの人間性を喪失することになる。〜つまり運命をわが物にして主体のうちに取り込む時、人間はいよいよ強靭になるであろう。そして安心の境地が得られるのである。〜
易にいわく、天を楽しみ、命を知る、ゆえに憂えずと。(「繋辞」上伝) ・・・」
 

金谷氏の本は歴史的な背景などがとても詳しく、そして私にはちょっと難しく・・・。
思想の内容あたりの項は、今回はしっかりとは読みこなせず返却してしまいました。
これまたいずれ再読を・・・。
 
これらの本を読んで、易占とは「易経」の思想を理解することが大もとであって、周易は断易(五行易)とはまたちょっと違うんだなあ・・・ということくらいは理解できました(恥)。
易経」は、占いの書であると同時に「四書五経」の中の儒教の経典でもあるという、二つの顔をもっているということですね。

これから、まだまだ読書の秋は続きます。
実りの秋でなく、種まきの秋になってますけどね・・・
(易で言うところの“時中”に合っているならよいですが)